前回までのは上記から確認お願いします。
〜その3 押し寄せる圧〜
見事に赤字を立て直した事が代表の耳にも入り、社内の評価が上がっていく◇支店長。
前任者からの引継ぎ、振り分け。
4人ものベテランが抱えていた顧客を残ったメンバーに振り分け・引継ぎが始まったが、
専門的な分野の顧客ばかりで難しいだろう。という理由で私には振り分けがほぼ無く、
残ったベテランの人たちに振り分けられた。
売り上げ目標の到達がまた遠くなるな。と思っていると、「新規のお客さんの案件が来てるから、それを担当してもらう。」と言われる。
逆に新規の方が大変なんだが、勉強という事なのだろうと前向きに感じていた。
内容は観光地に飲食店&お土産店を立ち上げるというもの。そこで使われる印刷物の諸々の仕事だった。
会議が終わりデザイナーの人たちが寄ってくる。「手間がかかるって有名なお客さんだよー。マジで気を付けなよ?!」との言葉。
そういう事か。押し付けたな。
初顔合わせ&打ち合わせ
担当の社長と打ち合わせしてみるが、圧が強い。勢いでいったらダンプカーでなぎ倒していくような感じ。そしてガハガハ笑う。お金の話になると目の色・雰囲気が変わる。
みんなが大変だよ!?と言っていた意味が分かった。その人の事を深く調べていくと、こうしたい、と思ったらしなくては気が済まない人で、発注した仕事はほぼ原価のような最小限の費用でやらせること。
無理な事でも引き下がらず、相手がやるというまで攻め続ける人なのだ。
あなたの仕事受けれません。と断れば話は早かった。リスクしかない客だから。
でもそうしない理由があった。
その社長と会社を繋いだ仲介人がおり、彼はA支店の元社員だったのだ。
「断れなかった。頼み込まれた。」
ベテランを対応させたらほかの仕事が出来なくなる。だから私に対応させた。
これは仕事が全て終わってから上司に聞いた話。
貧乏くじどころの騒ぎではない。貧乏神を押し付けられたのだ。
良いウソ。嘘も方便で身を守ることに徹する。
デザイナーとプランナーを外注したら利益なんて残らない。全て社内のデザイナーとプランナーでやり切ると決めて、ひとまず私はすべての案、すべてのスケジュール、すべての見積もりを3段階の保険を付けてやることを決めた。
要するに、事前情報を仕入れることが出来たならそうならないように対応するだけ。
相手側からの依頼は、
お店のロゴのデザイン、お土産商品の外箱の制作とデザイン3種。紙袋、シールテープ、ロゴシール。ロゴ入りビニール袋。
まだ何も決まっていない状態で、
このボリュームの物を2ヶ月で納品しろと言ってくる。出来なくは無いが、納期までギリギリ過ぎて新規案件としては難しい。
貧乏神のような社長がいない時、仲介役の人間が申し訳なさそう事の顛末を私に話してきた。
違う会社で話を進めていたのだが無理な値下げ要求と納品スケジュールの為、依頼した会社全てに断られ、申し訳ないと思いながらも、この話をもって来たという。
この案件、若手社員の俺に担当させたのは無理なスケジュールなのに利益が出ない。当然 ベテランにやらせるわけにいかない。仕方ない事だ。でも
やはり腹がたった。
この仕事を完璧にこなして、見返してやるという意思が芽生えていた。
私がいた会社は印刷機を持っていたが、
紙袋やシールが印刷出来る会社ではない。また本社に工場があるが遠く離れており1〜2日納品のズレが生じる。
だから納期がかかる自社印刷ではなく、納品物は全て外注へ依頼する事にした。
製作可能で取引のある業者全て呼び、見積もりとスケジュールを最速で出させることにした。
思ったより外注の対応が早く、原価や本当の納期を書いた私だけの管理シートに数字を埋めていく。
同じ商品でも最低3社分の見積もりを取った。
まとめなくてはいけない数は多いが、同時に安心が積み重なっていく感覚を覚えていた。
後にも先にも、朝デスクに座ってタバコ休憩2回取り、ふと時計を見たら夜の9時だったという経験はこの時以外無い。
全てのスケジュールのデッドラインが出てきたので、デザイナーとプランナーに共有した。
そしてこの納期を仲介役や社長に伝えるのは絶対NGとキツく念を押した。
これが相手に知られたら、外注にデータを送らないといけない日程周辺でゴネられ納品日がズレて、「間に合わなかったのはデザインやプランナーがしっかりやらなかったからだ!」と言って値段交渉をしてくる可能性がある。
相手側に製作物も多いからという理由を盾に、若手らしく安心安全なスケジュール一覧表を先方に提出し、ひとまずそれを目標に進行する事に決まる。その内容は本当の納期からは2周間ほど余裕持たせた物だ。
すぐに見積もりの話しになったので、まだ出ていない見積もりがある。それが出たら全て送る。
とウソをつきその場を終わらせた。
それからはデザイナーとプランナーの仕事が早く、予定よりも前倒しでデザインのやり取りが相手側と出来ていた。
その間に私は出てきた見積もりをまとめて送る準備をしていた。
見積もりの内容はどうせ削られるであろう営業管理費を高目に入れておき、外注の見積もりの細かい項目の所にも全て45%ほど加算してシレッと提出した。
すぐに仲介役から電話が来る。
見積もりの値段が高くて社長に見せられないから見直して欲しい。という内容。
こんな話は分かりきっていた話だったので、
「外注先にも交渉して頑張れるようにします!」とお茶を濁し電話を切った。
仲介役は元社員だがこちら側ではない。
すぐに返信すると怪しまれるので翌日の夕方頃に、高目に設定していた営業管理費を20%ほど下げ、外注からの見積もりに45%乗せていた額を35%程度に下げ、
仲介役に「全部の外注に頭下げて頑張りました!よろしくお願いします!」とメールを送った。
すぐに電話は来ず、2時間後ほどした後に一度これで社長に提出しますとのメールが来たのを確認し家に帰った。
まず小さな壁を乗り越えたと感じた。
私はこの見積もりにも細工をしていた。
外注から取った見積もりは1種類で3社以上取った理由はこの時の為にある。1番安い値段を出してきた外注の見積もりに45%乗せて仲介役に出したのではない。1番高い見積もりを出してきた外注の見積もりをベースに見積もりを作ったのだ。安い会社と高い会社の値段の差は10%ほどある。
私はボランティアではない。
大変な思いをしても会社から評価もされず、利益も残せないという事などしたくないのだ。
後日、仲介役から時間を作って欲しいとメールが来る。その内容は社長が直接値段について話したい。その時は社長、私の2人で話したい。との事だった。
かしこまりました。
と返信したのと同時に第2ラウンドが始まった事を理解した。
その4に続く。
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