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〜その6 さらなる痛み〜
B社長の手掛ける観光複合施設のオープン迄あと1ヶ月と1週間。初めての打ち合わせから3週間ほど経って、ようやくお店のロゴが確定した。これが決まってしまえばシール系、ビニール袋の製作物などはほぼ完成したと言っても良い。
基本的にロゴと店名を印刷しただけ良いという形に決定しているからだ。本当はもっとこだわりたいとB社長が言っていたが、私もプランナーも必死の形相で開店まで絶対に間に合わないと説得したら相手側も納得したようだ。
ロゴが決まった瞬間、外注から各種素材サンプルを手配した。届いたらすぐさま先方に提示し、素材が決まった商品から製作の依頼をかけた。
営業は売るだけが仕事じゃない。全体をコントロールするプロデューサーでなくてはならない。
◇支店長が来てから1番最初にリストラされてしまった直属の上司だった部長が言っていた言葉だ。
管理して手配して…の毎日。もちろんこの仕事以外の案件もこなしていると、その言葉が改めて身に沁みていた。
気づけば夜、気づけば朝
朝出勤してから帰るのは毎日夜中の10時過ぎ。
そんな中にも充実感と楽しさはあった。
計画して手配したものが順調に完成していく。
そして自分が関わった物が世の中に出る。
それが1番私のやる気に繋がる事だ。
お店は開店まで残り3週間。
違う顧客の案件も立て込んでしまい徹夜で仕事をした。昼過ぎに時間が少し空いたので一度家に帰り、サッとシャワーを浴びまた会社に戻った。
まだまだやる事が残っている。
その日もまた徹夜になってしまった。
約3日寝ていない。眠気と身体と集中力に限界が来たのは夜が明けた朝の7時。少し寝ないと命の危険を感じた私は、会社の予定ボードに11時出社と書いて家に帰り、少しの眠りについた。
目が覚めて時計を確認すると11時半。
マズイと思ったが急ぎの仕事は終わらせていたので、もう割り切ってシャワーを浴びてから行く事にした。
会社についたのは12時30過ぎ。
営業は全員外回りで誰もいなく営業フロアーには◇支店長だけがいた。
入った瞬間◇支店長に呼び出された。
◇支店長「おい。ボードに11時出社予定って書いてんのに何やってんの?」
下から覗き込むように睨みつけて言い放つ。
私「すいません。仕事立て込んでて3日ほど徹夜が続いたので少し寝たら寝坊してしまいました。」
急遽朝イチの案件が出て…。なんて誤魔化す知恵があったらまだ良かったのかもしれない。でも◇支店長に少しでも仕事に対して真面目に取り組んでる姿を分かって欲しかったからの発言だった。
しかし、この発言が終わった瞬間に頭に衝撃が走った。
◇支店長のデスクの上にあった分厚いファイル3〜4冊まとめて私の頭を叩いたのだ。
◇支店長「ふざけんじゃねぇ!徹夜しようが関係ねぇだろ!ボードに書いたならその時間に必ず来い!」
この時、私の心の大事な何かが壊れた。
ここからその後の記憶は曖昧になる。
叩かれた後、
私「すいません。気をつけます。」
そう言って机に座り残った仕事を取り掛かったと思う。
崩壊
◇支店長は私を人として扱ってない。徹夜までして、モンスター顧客の対応もうまくやり過ごし、全商品の納品も問題なく出来るスケジューリングでやっている。この期間、他の顧客からクレー厶が出ることもなくやっていたのに。
今まで生きていてこんな仕打ちをされた事は無かった。
その数日後から私の身体に異変を感じた。
朝目覚めてベットから起きる事が出来ない。
仕事に行かなければ!
そう思うほど激しい頭痛と吐き気がしてくる。
体調が悪いのか?自分でもどうなっているのかわからない。ただただ寝ていたいという気持ちが何よりも優先されている気がしている。
携帯を開き、何とか会社に体調不良で休むと伝え、その日は食事を一度も取らず1日中寝ていた。
ここから全商品を無事に納品させてオープン日にお祝いの為、上司と顔出しに行った。これ以外の記憶がほぼ無い。あと施設と商品の案内を一通りB社長にされた事も覚えている。
次の日の朝、スーツに着替えることが出来たので支度をして家のドアを開けようとしたが、
開かない?!
鍵は開けているのに開かない。
ドアノブに手をかけ押しているのに動かない…?
混乱していた。開くはずのドアが重すぎて動く気配がないのだ。
気付くと涙が出ていた。
ドアが重いのではない。私の心が外に出る事を拒否していたのだ。
私はスーツを脱いでまたベットに入り、ただ眠ることしか出来なかった。
その7へ続く
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