今までの記事はこちらから↓
~その5 板挟み~
B社長が帰った後の支店内はどこか不穏な空気感に包まれていた。
打ち合わせ室からの声が漏れていたからみんな聞いていたのだろう。
高圧的な事実確認。
◇支店長もその日はA支店にいたので、打ち合わせ室の片付けを終わらせてうなだれている私をすぐさま呼びつけた。
◇支店長「どうなってるんだ?!説明しろ!」
私「見積もりが高すぎると、直接社長が私に値切り交渉がありました。」
そう言い赤ペンで値切り指示の書かれた見積書を見せる。
私がB社長への対策をしていた事を◇支店長は知らない。赤ペンで書かれている営業管理費や商品に対して値切りの数字を見て、怒鳴るように
◇支店長「お前営業だろ?客もコントロール出来ないで全部言いなりか?情けねぇ。こんなんじゃやる意味ないだろ?自分の給料はどう稼ぐんだ?」
B社長についての情報は入ってるはずなのに、お情けの言葉などはない。少しでも考慮してほしかった私は
私「すいません。噂通り話が通じないほどの一歩通行な人で…。」
うつむきながら答えた。
◇支店長「だからそれじゃダメなんだって言ってんの!んで、どうすんだよ。利益あるのか?」
諦めと怒りが混ざるように言ってきた。
私はB社長の噂を事前に聞いていたこと。その対策はしており、提出していた見積りやスケジュールには段階的な保険をかけていた事など全て伝え、原価表の一覧を見せた。
怒っていた◇支店長も納得出来たのだろう。
◇支店長「じゃあまだ利益出るんだな?もうそれなら営業管理費の請求はゼロで出して、商品の値段も言われた値段で出して決めちまえ。」
本当に雑な指示だと思った。
面倒な客を押し付けられて、利益を残す対策もしてきたのに、その努力を褒める言葉が1つもない。
私に視線を合わせず原価表を見ながら◇支店長は
◇支店長「お前だけだと心配でしょうがないから、◎課長にフォローしてもらえ。言っとくから」
わかりました。と食い気味に言い私は不満を隠せない態度で自分のデスクに戻った。
部下を信じる上司と信じない上司。
◎課長はベテラン勢の中でも1番年下だったが、売り上げは安定して作るやり手の営業マンだ。
そんな人だから忙しい。何から何まで私の面倒を見るわけにいかない。
すぐ◎課長と打ち合わせ。基本的に私の動きは変わらない形になる。◎課長は私を信じてくれたからだ。
◎課長は抱えている案件が多く、私が残業している時も同じように残業していた。打ち合わせするまではこの案件の話を直接することはなかったが、電話で私が業者と話している内容・出しっぱなしになっていた資料をちょっと見てくれていたことがあって、大丈夫だと思うから私の動きに変化を入れることはしなかったそう。
後に◎課長は成績と人望によりA支店の支店長になる男
唯一変わったのは、B社長との打ち合わせの際は同席してくれる事。
これ以上の値下げ要求を防ぐ為だ。
ひとまずB社長に言われていた金額に設定した見積書を作成しメールで提出した。
数日しても返事がなかったが、デザインのやり取りは進行しているようだったのでもう大丈夫だろうと勝手に想像していた。
この時の見積書の金額は当初の値段より60万以上減額されており、営業管理費は無くなった。
商品に対しての利益は45%あったものが20%切る数字になっていた。
会社の営業管理システムに今回提出した金額を打ち込んだ。当初計算していた利益が大幅に減り、みすぼらしくなった利益の数字がとても虚しく私の目に映った。
その6へ続く。
コメント
コメント一覧 (1件)
[…] 鬱からの立ち直り「パワハラ上司」〜その5 板挟み〜 2024年8月25日 […]