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〜その4 対峙〜
仲介役からの連絡を受け数日後。
貧乏神の社長が会社に来た。今後は貧乏神の頭文字をとりB社長としよう。茶色がかった色眼鏡をしている姿は、カタギの人とは言いづらい風貌だ。
彼はデザイナー、プランナーは呼ばなくて良い、私だけと話がしたいと受付に伝えたようで、打ち合わせ室に待っていた。
少し焦った様子で受付の人間が私にその事を伝えに来た。
その社長は、若手だから交渉など出来るわけ無いだろう。高圧的に値下げ要求すれば安くなる。そう思っていたに違いない。
当然私もそのような経験が無いので、ガッチリ来るんだろうな。という覚悟はしていた。
日差しがふさわしくないほどの重い雰囲気。
打ち合わせ室に行き軽い挨拶を済ませると、おもむろにB社長は以前提出していた見積書に赤ペンで色々書いたであろう物を私の前に出す。
B社長「これ高いよね。どうにかならないの?」
私「正直にお話しますと、社長に出せないからと仲介役の方からも一度値下げ交渉されており、お出しした見積書は頑張って出した金額です。」
意外な返事だったのだろうか。B社長は一瞬悩んだような素振りをして、食い気味に話し出す。
B社長「営業管理費、これさ君の利益だよね?何年働いたの?まだそんなにいないよね?じゃあこれさ、タダで良いんじゃない?」
絶対に言われるであろう部分を攻めて来た。予想はしてたが正直腹が立った。若手だろうがやる事はやっていた自負があるからだ。ケンカをしても仕方ない。元々取れない金額だったのだと言い聞かせ返事をした。
私「入社して4年目になりましたが、営業としてはまだ1年目です。営業管理費に関しては上司にも確認してまして適切な金額、パーセンテージだという事で承認してもらいました。」
私が個人で全て決めて動いているとでも思ったのだろうか?上司も見積もりに絡んでいると知るとB社長は少しムキに、
B社長「たくさん商品数あるよな?多少なりとも金額のっけてるのは分かってるんだよ。だからそれだけでいいじゃないか!私はね、最低料金でやってもらわないと気がすまないんだよ!最低金額より高い事は無駄なんだ!とにかく営業管理費は払わない!」
異常・異端・異質
こいつは話の通じない頭がおかしいバカなんだとその時思った。だがこのB社長は一族経営の2代目。彼が社長になってから様々事業を成功させ急拡大させた。バカで済ませれる人間ではない。今思い返せばダンプカーで突っ込んでくるような傲慢さを私も少しくらい学ばなくてはいけないのかと思ったほどだ。
圧倒されたのもあった。私がごねてもこれは無理と悟り、
私「わかりました。上司に確認してすぐご返答するように致します。」
そう答えると上機嫌になったB社長。そりゃそうだろう。数十万のお金が浮いたのだから。そこから楽しそうに今までやってきたコストカットの自慢話を私に話し始める。
内容を聞いていると正直にエグい。
B社長と取引しなくなった業者が多いと聞くが、その理由がわかる。視点を変えれば会社の為・社員を守る為に戦っているのだろうが少し度を超えている感は否めない。
彼の武勇伝が終わり帰り支度を始めたので、これで終わりか。そう思っていたら笑顔で
B社長「商品の方もう少し値段下げなさい。分かってるんだから。」
全く予想してなかった発言で私は面食らって「あ…、えっ…?!」位の対応しか出来なかった。さらにB社長は強張った表情で睨みつけるように、
B社長「1週間以内に送り直すように。じゃ。」
そう言って会社を去っていた。
ゆっくりと打ち合わせ室にあるコーヒーを片付けをしながら、とんでもない相手と仕事をしなくてはいけない。
改めて思い知らされて私は絶望した。
その5へ続く。
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