文字の通り香りと味を油に移した物です。
わかりやすい物とすればラー油が1番メジャーな香味油といえます。
簡単に作れるのにその効果が凄いのが香味油。
ラーメンの作り方を教える時に言う言葉があります。
女性で例えるなら香味油は化粧。
化粧はその日の気分やトレンドによって変化させて自身の見栄え、全体の印象を変化させる事ができます。整形のように骨格や本来の形を変えるわけではない。
なので化粧と例えています。
どのような作り方なのか?
基本的には動物性の脂、または植物性の油に食材を入れて弱火で火入れして香りと味を移し、仕上げていく作り方。
まずは初級、香り高いラー油作り
数年前に食べるラー油がメガヒットしましたよね。
私もハマった時期があったんですが、食いすぎて体重増加とニキビ出まくったので、封印してからあまり食べなくなりました。ほどほどって言葉が本当に大事に思う出来事でした。
では作り方へ。
材料は
粉の赤唐辛子(乾燥したもの): 50g
鷹の爪 5g
ホアジャオ 1〜3g (シビレが苦手なら1gだけ入れて香り出し用に)
長ネギの緑の部分 一本分
生姜 20g
ニンニク 20g
サラダ油: 200ml
ホアジャオって何?って方↑のリンクを見てほしい
四川料理でよく使われるスパイスで、
四川山椒と言われるほどポピュラーなもの。
特長としてはシビレ。そして香りの高さ。
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フライパンに油を入れ中火に。
温まる間に、
鷹の爪は細かくして種は捨てずに。
ニンニク、生姜は薄めにスライス(生姜は皮ごと使います。香りがより良くなります)
ネギの緑色の部分はザク切りに。
ホアジャオはそのままで
油が温まったら粉唐辛子以外を全て投入!
ここからは弱火で、絶対に焦がさないように。
イメージとしては出汁をとるように、ゆっくり火をいれてニンニクが茶色がかる程度まで。
強火にするとコゲっぽい香りが強くなり味も香りも出ません。
10〜15分くらいで仕上がります。
火を止めずに、ニンニク、生姜、ネギの緑色の部分は取りましょう。腐りやすいので。(ホアジャオと鷹の爪はそのまま)
粉唐辛子は耐熱性のあるボール等に移しておきます。
火を止め、粉唐辛子にかけたら菜箸などでかき混ぜます(換気をしましょう、煙が目と鼻にきます)
あとは冷めるまで待ちます。
イメージとしては予熱で粉唐辛子の辛さと香りを油に移す感じ。
油の部分だけを使うのはとてももったいないです。
下に溜まったホアジャオや粉唐辛子が本当の食べるラー油の部分なので、油と一緒に使いましょう!
中級、上級編
ここからはラーメン店の仕込みレベルの内容です。
その前に1つ雑学を。
うどん、そば、ラーメン。同じ出汁を使った料理なのに激的に中毒性を持った物はラーメン。
それはなぜなのでしょうか?
答えは油です。
うどん、そば、ラーメンでスープに入る脂の量が全く違います。
人間は本能として油を求め、油・脂を摂取したときに快感を感じるようになっています。
その結果、軽い禁断症状で「ラーメン食べたい」となるのです。
普段、あのうどん、あのそば食べたい。という頻度と、あのラーメン食べたいの頻度は絶対違う筈です。
油・脂の依存に関して。
※数年前に読んだ本なので間違っていたらすいません。研究結果が強烈だったのでその部分だけ強く覚えている話です。
どこかの大学か研究所で、ネズミを使って研究した結果が出ていて、内容としては、
エサは同じ量、与える水分も同じで、一方のネズミには定期的に油を与え、もう片方は油を一切与えない。
一定期間が過ぎたらどちらにも油を与えない。
ということをしたらどうなるか。
油を摂取していたネズミに禁断症状と見られる反応が出て、油を探し回るような仕草、凶暴化等が出たそうです。
ネズミレベルでも依存が出るという事は、人間にも同じような事が起こることは不思議ではない。という内容でした。また人間とネズミの脳の作りは非常に似ていることから、人間だったらどうなのか?という実験をまず先にネズミで。というのがあるようです。
その油に対する欲求を解決できるから、人間は長時間でもお目当てのラーメン屋に並ぶ事が可能で、また新しいお店を探したりという行動をするのだというです。
本当に油・脂は面白い存在ですね。
さて脱線したので話を戻します。
一番手軽な動物性油はラード、最近では家系の流行りなどで鶏油も一般的になっていたのではないでしょうか?
私はラードを使いたいときは背脂を加熱してラードを精製していたのですが、お手軽な話ではないので、
よくあるチューブ式のラードでの話をしていきます。
特徴をまとめていきましょう。
コクが強く、香りの主張が強い食材を入れてもケンカすることはせず馴染む。近くのスーパーでも手に入りやすく、
炒め物や、コンフィを作る時にラードで作るととてつもなく味の質が上がる。
鶏油の液状のものは中々流通していません。鶏油と書いてある商品でも塩や、香味料など入っていて純正なものではない物が多い。
なので作るしかないのが正直なところです。
そして同じ鶏油(チーユ)でも実は大きく分けて2種類あります。
鶏脂と言われる内臓脂肪のような脂身を加熱して取る鶏油(チーユ)
鶏皮を加熱して取る鶏油(チーユ)
面白いですよね。
私は鶏皮に火入れをしてお店で使っていました。開業前に個人店のラーメン屋を3店ほど修行したのですが、
鶏皮で香味油を作っていたところは2店舗、鶏脂は1店舗でした。
本当にこれは好みなのですが、鶏皮の方が甘さとコクが強い気がしました。鶏脂の方はやはり内臓というイメージが私の中で強すぎて鶏臭さが抜けないような気がしたんですよね。なので本当に好みです。
物質から油を出していく作業はいろいろなやり方がある。
これも本当に人それぞれです。
湯煎して間接的に温め油を出す。鍋に弱火で火入れして出す。お湯で茹でて分離した油をすくって出す方法。
大きく分けてこの3つ。好みですがメリットデメリットがあります。
商品 | 特徴 | 風味 | |
---|---|---|---|
湯せん | 焦げることはない 管理しやすい 生臭さ気になる 取れる量が少ない | 弱い | |
弱火で | 香り高い 油の量が多く取れる 焦がしたら匂いが全体にまわり終わる | 強い | |
茹で | 焦げにくい 油をすくう手間がある すくった時水分が入ると劣化が早まりやすい 旨味が茹でた水に持ってかれている気がする(個人的視点) | 少し強い |
私はお店で鶏油だけでラーメンを作る事はしませんでした。鶏の油の風味だけでは足りない。ラードだけでは足りない。という事で、ラードで鶏皮をゆっくりと揚げる事をしました。
やり方としては先にラードを溶かしたところに鶏皮を入れてゆっくり火入れ。カリカリになってきたら強火にして仕上げる。という流れです。(香味野菜も入れてつくりますが今は省きます。)
なぜこんな事をするかという、となべ底に皮が張り付いてそこから焦げます。なので、油で皮を浮かせてやると、
焦げにくく、しっかり抽出することが可能になります。
ようやく本題、ラードだけでもOK 鶏皮だけでもOK、動物性油で香味油作り!
動物性油の弱点といえる部分は、臭みです。そして温度の低い料理には使えない(凝固するので)
鶏臭さ、獣臭さ。これをあえて長所として使う所もあります。でも一般的な話としては臭みは消します。
万能香味油を作る!
ネギの緑色部分1本分、ショウガ1つ(50g程度)、ニンニク4片、鷹の爪1本
これらを使い仕上げます。よくあるラードチューブ250gでやってみましょう。
弱火で火入れして個体から液体へ
ネギ緑部分はざく切り、ショウガは薄めにスライス、ニンニクは真ん中から刃を入れ2つに、鷹の爪は、半分にして種ごと。役割としては以下
(臭み消し香りづけ→ニンニク・ネギ・ショウガ。 殺菌・抗菌作用→鷹の爪)
ショウガやニンニクのいい香りがしてきて、素材が茶色ががってきたら完成。
食材をそのままにして冷ますと油を吸ってしまい抽出量が減るので、熱い時に取り除きます。粗熱が取れたら瓶などの容器に入れ冷蔵庫で保管。
冷蔵庫で冷やすと固くなりますが、スプーンなどですくって調理時には使いましょう!
炒め物、ラーメンと活躍の場が多く、この油だけで一気にプロ感増します。(手間ですけどね)
気になる方は是非やってみてください!
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